なんじ、つぶやくなかれ

産経新聞Twitter上での「軽率な発言」を謝罪
産経新聞社会部は8月31日、衆院選報道関連のつぶやきを更新していたTwitterアカウント「@SankeiShakaibu」で「軽率な発言をした」とし、Twitter上で謝罪した。同アカウントには31日朝、「産経新聞が初めての下野なう」「でも、民主党さんの思うとおりにはさせないぜ。これからが、産経新聞の真価を発揮するところ」というつぶやきが投稿された。同社報道の中立性に対する疑問を招きかねない内容だったため、フォロワーなどから批判が相次いだ。>
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0908/31/news122.html


最近急速に広まりつつあるTwitterというメディアが気になっていた、その矢先の出来事。いくつかのTwitterを断続的に眺めてきたが、そのメディア特質からして、少なくとも所謂マス・メディアはやはり使用に特に慎重を期するべきだろう。オンタイムだがわずか数行という形式で可能なのは、往々にして刹那的表明もしくは思考の断片でしかなく、佐藤卓己の言を借りるなら「世論」であって「輿論」ではない。詩人は大いに活用したらよいだろうが、報道には如何なものか。


聖書には何箇所か「つぶやくなかれ」という句があったと記憶する。
小声でしか言えないこととは、すなわち大きな声では言えないことである。何事か口にして言うのならば正々堂々と表明すべきであって、それが出来ないならばむしろ黙すべし。そういった文脈で用いられていたと思う。
昔からいつも呟いてばかりの私にとっては鋭い警句として心に留めていた。


ましてや、大きな声を持つものは、その力に自ずと使命と責務がともなうことを忘れてはならないだろう。いくら本人は「つぶやい」たつもりでいたとしても周囲にとっては決してそうではないことも少なくない。

参考図書:佐藤卓己輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)
輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)