ごく、近い、歴史

午前雑事の傍ら、ジャック・アタリ緊急インタヴュー「危機の中で未来を考える」の第一回、二回一挙再放送を見る(NHK総合TV)。部分はともかく、現代史の総括と近未来の展望は、ざっくりしたものながらも参考になった。

改めて時代を感じる。
私が中国で過ごしたのは経済開放後まだ間もない頃だった。人民公社も解体されたばかりだったし、上海の街頭のあちこちには文化大革命のスローガンの大文字の跡が生々しく残っていた。ベルリンの壁崩壊はドイツから帰国したその年だった。チェック・ポイント・チャーリーで連れが身体検査にひっかかり個室からなかなか出て来なかったことも、東独出身の友人の依頼で見ず知らずの彼の親戚に手紙を渡しに行ったことも、今は昔だ。
かつて、全く異なるシステムの社会がすぐそこにあった。手をふれればそのざらつきや重さを生のまま知ることも出来た。

先週の歴史社会学では、NHK『映像の世紀』の一部を使った。歴史社会学以前にまず近現代史の基礎知識が必要と判断したためだ。平成生まれの大学生は文化大革命ベルリンの壁も知らない。『映像の世紀』の中で「今世紀」と言っているのは「前世紀」のことだと、最初にことわっておかねばならない。なんとか彼らの実感に食い込めるような情報を提供したいものだが、
さて、又新しい週が始まる。