本を買わない大学生

たまたま今日一日のうちに、複数の学生、院生から同じような言葉を聞いた。
まず、学生さん。
ブック・レポートの締め切りが近づいている。ところが、講義で紹介した本はいずれも図書館からは貸し出されていて無いのだという(立派な図書館ですが、登録者数も多いですからね)。で、「他の先生の科目で使っている然々の本でもいいでしょうか」との問い。同じ質問が複数あった。答は「自由」です。ただし、この講義の関連図書をとりあげたほうが当然評価は高くなりますが。
次に院生さん。
関心ある主題について資料検索をしたかと問うと、書籍は(ほとんど)無い、という。それでも「論文ならあるでしょう」と言うと、残念そうに「とりよせるのに金がかかるんですよね」とのこと。

彼らに共通するのは、本や論文のために身銭は切らないという大原則だ。今更ながらだが、あらためて軽いカルチャーショックを覚えた。
弊衣破帽の大学生がマントや布団を質においてでも本を入手した、などという太古の話は、私自身も知らない時代のことだが、少なくとも、学生、院生であれば普通に本は買うだろうと、まだどこかで想定していた。
どう見ても彼らが極端な貧困状態にあるとは思えない。むしろ一般の若者より身なりは上ではないか。しかしファッションや娯楽、部活にお金を使っても、本には使わない。別の講義で使っている本でOKならその分、‘節約’できてラッキー、と思うのだろうか。しかしそれは一体何の‘節約’になっているのだろう。知を拡げるチャンスを自ら放擲していることになるだろうに、勿体無い、と、思うのはあくまでも私の側の感覚ですが・・・。