3D以上


次回「メディア文化論」および「歴史社会学」では、NHK映像の世紀」第一集「20世紀の幕開け」DVDを部分的に用いる予定。この中には、人類初の上映映画とされている「工場の出口」や「ラ・シオタ駅への列車の到着」などが含まれている。いずれもリュミエール兄弟によって製作された最初期の「動く映像」だ。
中でも「ラ・シオタ駅…」は印象的な作品だ。駅のホームに機関車が入ってくる。右手奥から現れた機関車が次第に接近し、その巨大な姿をすぐ目前にさらし、やがて左手手前に去っていく。
今日の我々からすればちょっとしたCMにも満たない、あっけなく短いこの映像が、当時の観客には大きな衝撃を与えたという。
「近づいてくる列車に驚き席を立った人」「スクリーンの左端に列車が消えてしまうことがどうしても理解できない人」もいたと、解説は言う。「画面からはみ出した列車は一体どこに行ってしまったのか?」と。
それは、今日の我々の3D体験をはるかにしのぐ衝撃だったに違いない。