品格と顔

「品格」や「模範」、「理想」、「美」が創造されていく過程は、その反対の極にある、品位の無いもの、低いもの、醜いものを点検排除していく過程でもある。
醜悪なるものの定義は、しばしば「美」の描出よりはるかにリアルで具体的だ。
キーンの『敵の顔』はその好例である。敵の顔を明確に定義することにより、味方の結束は固くなり、正義は強固なものとして確認される。

敵の顔―憎悪と戦争の心理学 (パルマケイア叢書)
「品格」の議論がしばしばナショナルな文脈で語られるのは決して偶然ではない。